シルバーアクセサリーとうまく付き合う方法

シルバーの特徴

シルバー(Silver)・925・スターリングシルバーなど色々な呼ばれ方をされますが、日本語でいうと単純に「銀」です。

ただし、どれも純度は925/1000。純銀は柔らかいため、アクセサリーに使用する場合はこの配合で使用されることが多いです。

私の主観ですが、色の特徴としてSILVER925は銀色に少し黄味を帯びた色だと感じています。

同じような銀色でもプラチナは銀色に少し黒を感じる色で、SILVER925の方が柔らかく感じる印象があります。

もう1つの特徴は、変色(酸化)があります。変色に関しては良し悪しですが、それぞれの捉え方だと思います。

クロムハーツに代表されるイブシと呼ばれる加工方法は、あらかじめ変色する部分を化学変化で黒くしてしまう技法です。

これによりロックで男っぽい、無骨なイメージや使い込んだアンティークな雰囲気に仕上がります。

ずっと綺麗な銀色を求めるなら、色の印象は変わってしまいますが、

メッキをかけるか、シルバーでなくホワイトゴールドやプラチナを選ぶかになります。

変色も含めてシルバーを愛してあげれれば長く共に過ごしていける良い素材となります。

変色は洗浄液や専用クロスで磨くことで綺麗に戻ります。

予算を抑えて銀色のアクセサリーを楽しみたい方にとっては、シルバーにロジウムメッキの選択も良いと思います。

(ロジウムはプラチナに近い色の金属でホワイトゴールドのコーティングにも利用されます。紛らわしくてあまりその呼び方は好きではないですが、通販サイトなどでは”プラチナ仕上げ”と謳われている物の多くが”ロジウムメッキ”です)

合金製の銀色のアクセサリー等は溶接等の修理ができない物が多いですが、シルバー925製品であれば修理ができるので、お気に入りのジュエリーを長く愛用し続ける事も出来ます。

一概にシルバー=すぐ汚れる、安物である

と言うようなイメージで選択肢から外してしまうのではなく、

素材の良さと特徴・加工を知ることで、様々な選択肢から自分に合ったジュエリーを選ぶことが出来、人生の楽しみが増えることと思います。

自由なリフォームジュエリーをVol.3

今回も引き続きリフォームジュエリーについてです。

Vol.1をお読みでない方は是非そちらも併せてご覧いただければ幸いです。

自由なリフォームジュエリーをVol.1はこちらから

自由なリフォームジュエリーを Vol.2はこちらから

今のリフォーム事情

Lycorisのリフォームで一番多いのは、祖父母世代・親世代の婚約指輪(ダイヤやサファイアなどの色石も含む)を日常使いしやすいネックレスに作り変えるか自分たちの婚約指輪にするリフォームと、

花珠真珠をいくつかのジュエリーに分けて、姉妹で分けるなど複数人で分けあうリフォームです。

特に婚約指輪は、コスト面でもおすすめです。

例えば0.5ctのダイヤモンドリングを購入する場合、予算は60万円~。

もし0.5ctのリングをお持込いただいてリフォームするなら予算は12万円~。

婚約指輪は日常使いしない方が多いので、必要ないとお考えの方も多いですが、リフォームジュエリーの予算でなら…と言われる方も多いです。

形見分けとして、1つのジュエリーから複数のジュエリーを作ることも可能です。


-これまでの加工例

各事例のだいたいの平均予算はあくまでも目安としてお考え下さい。デザインや素材によって価格は異なります。

①リングから石を外してネックレスやピアスにリフォーム(平均予算:4.5万円前後)

お母様の2本のリングから石を外し、それぞれが使いやすいアイテムを、それぞれの個性に合わせたデザインで。

②元の枠を活かしたネックレス(平均予算:3万円前後)

指輪としては着けないけれど、なるべく現在の形は残したいという想いから、元の枠を残し、周りに少し華やかな装飾を足してアンティークで可愛らしいデザインに。

③花珠真珠をカジュアルにも使えるデザインにリフォーム

SV925ステーションロングネックレス(平均予算:1.2万円前後)

ロングタイプのステーションネックレスは、長さや間に入れるチェーンの細さによっても印象が変わります。これは思い出の品ということもあり、留め具も飾りとして入れ込みました。

K18ネックレス(平均予算:3.5万円前後)

横に並べたデザインは使いやすく、カジュアルからセミフォーマルまで合わせやすい定番。少ない数で出来るので、複数分配する時によく選ばれます。

④外した石を手持ちのリングに付け足すリフォーム(平均予算:3千円前後)

お手持ちのリングに別のジュエリーから外したダイヤモンドを埋め込みました。

決まりがないからこそ出来るカスタムのリフォームです。


これらはほんの一例です。

リフォームジュエリーは、生まれ変わった時の変化に驚かれる方が多いです。

眠っているジュエリーがあれば、是非お気に入りに生まれ変わらせてみませんか?

ご相談お待ちしております。

*費用はデザインや使用する素材・下取りの金額によって変わりますので、気になった方は実際にお持込いただきご相談をお勧めします。

自由なリフォームジュエリーを Vol.2

今回も引き続きリフォームジュエリーについてです。

Vol.1をお読みでない方は是非そちらも併せてご覧いただければ幸いです。

自由なリフォームジュエリーを Vol.1はこちらから

 

ジュエリーの価値とは。

“ジュエリーは資産です!”とか”投資と同じです!”と言って接客する販売士もいますが、そこは冷静に考えないといけません。

もちろん、ダイヤモンドや貴金属はそれだけで価値のあるものですが、

ジュエリーとして製品化されている以上、売価にはデザイン料や工賃、加工料等、沢山の経費と利益が上乗せされています。

これはジュエリー以外の物も同じこと。原材料の価格に、製品化までにかかったさまざまな経費や利益が上乗せされて販売されていますよね。

ですから、「買った時の金額=売却できる金額」ではありませんし、ダイヤモンド以外の天然石は大きさや色のグレードが良くない限り値段がつかないことも多いです。

もちろん相場にもよりますが、ほとんどのジュエリーが買った時の値段の50%の金額にもならないと思います。

ただ、ジュエリーが他のものと違うのは「加工すれば再利用出来る」ということ。

これは長きに渡り、世代を超えて愛用するために不可欠な要素です。

“人から人へ受け継ぐもの”という「人と人をつなぐ」資産として面での価値は充分にあるのです。

 

私たちがリフォームジュエリーを勧めたい理由

加工する側としては、前回のコラムで述べたように、リフォームジュエリーの加工にはリスクが伴いますし、簡単ではありません。

また、今ある物を分解してから作り直すので、通常のオーダーメイドより工程も多く、時間もかかります。

それでも私たちがリフォームをフルオーダーで受けているのは、「大切なジュエリーを長く愛用していただきたい」から。

これはLycorisの理念でもあります。

私たちはジュエリーを作る側として、人をより引き立たせ魅力的に見せるためのデザインと、

永く手元に置いてもらうために強度や着け心地を考慮することを心がけていますし、他店の物でも、壊れてしまったものは出来る限り修理します。

また、宝石や貴金属は厳しい条件や長い年月を経て人の手に届くため、無限に出てくるとは限りません。

その貴重なジュエリーが、「見た目が好きじゃないから」という理由だけでジュエリーボックスの中で眠ったまま忘れられてしまうのはもったいない…。

 

そういった視点から「宝石を永く愛せる形にする」リフォームジュエリーにも力を入れ、通常のオーダーメイドジュエリーと同じようにフルオーダーメイドでお受けすることにしています。

 

「これは〇〇からもらったものなんです」「〇〇はこういう人でこんな時にこれを付けていて…」など、打合せの際に聞かせていただくエピソードはどれも素敵な思い出ばかりです。

もちろんお話しされない方もいらっしゃいますが、その宝石を・ジュエリーを自分らしい形に変えて持ちたい!と思う気持ちは同じ。私たちも精一杯の気持ちと技術で応えられるよう日々努力しています。

 

最終回の次回(10/26(金)更新)では、具体的なリフォーム事例などをご紹介します。

自由なリフォームジュエリーを Vol.1

「自由なリフォームジュエリーを」

これは、私たちがご相談に来ていただいたお客様によく言う言葉です。

これまでのリフォームジュエリーの多くは、石がない状態で作り置きされたリングやネックレスに、手持ちのリングから石を乗せかえるものでした。

“一度検討したけれどデザインの幅も狭く、手持ちのものとそこまで変わらないから、リフォームは諦めていた”

そんな言葉も多く耳にしてきました。

Lycorisのリフォームジュエリーは、決まった型やパターンは用意せず、すべて自由。

加工料は、ほとんどの場合が通常のオーダーメイドジュエリーと同じくらいの価格に設定しています。

今回はなぜ私たちがリフォームを大切にしているのか、リフォームでどんなことが出来るかをご紹介していきます。

なぜリフォームジュエリーの選択肢が少ないのか。

ヨーロッパなどジュエリーの歴史が長い国では、ジュエリー工房も多く、宝石や貴金属を受け継ぐことは一般的で、リフォームジュエリーは割と身近な存在です。

日本ではもともと発掘される宝石や貴金属の種類や量が少ないことや、

歴史的背景から考えても、ごく日常的にジュエリーを楽しむようになってからまだそんなに長くありません。

そして”新しいもの”に価値を感じる人が多いことがあり、リフォームジュエリーはなかなか注目されませんでした。

特にバブル期にはたくさんの貴金属が売買され、ジュエリーを持つ人が多くなった結果、現在は

“もう使わなくて、もったいないけどどうしたらいいかわからない”

と考えている方が多いようです。

 

リフォームのリスク

そもそもリフォームしよう!と思った方が持ち込むジュエリーは、多くがその方にとって思い入れがある大切なもの。

そのジュエリーを加工するにあたって、リスクが伴います。

特に石は、見えない部分・隠された部分に傷やヒビがあることが少なくありません。

一番固いダイヤモンドですら傷がついたり、力を加える方向によっては破損したりということもあります。

破損した場合、例え似たような石を探せたとしても、それは思い出のない全くの別物。

だからこそ、破損しないように事前のチェックや、加工には細心の注意を払わなければならず、いつも以上に時間や労力がかかります。

 

こういったリスク回避の観点や、フルオーダーメイドが可能なお店が少ないことから、なかなかリフォームジュエリーが自由にできるお店が少ないのもリフォームジュエリーが注目されづらい原因の1つかもしれません。

 

長くなりますので、今回のテーマは分割して掲載していきます。

次回は10/23(火)に「ジュエリーの価値」と「私たちのリフォームジュエリーにかける想い」をお伝えします。

ホワイトゴールドの秘密

ホワイトゴールドは、シルバーよりも手入れが楽で、プラチナよりも軽い着け心地が好まれています。

ですが、ホワイトゴールドも『金』

金は『金色』なのになぜホワイトゴールドは『銀色』なのか。

今回は『金色』を『銀色』にする方法についてご紹介します。

24金のホワイトゴールドは存在しない!?

以前のコラムでもご紹介したように、多くのジュエリーに使用される貴金属は、

耐久性や美しい色を出すことを目的に他の金属と混ぜられています。

24金はほぼ(化学的に純粋に100%のものは存在し得ないという見解からほぼとしています)100%金なので、寺院などの装飾品などによく用いられている濃い金色を思い浮かべていただければわかりやすいと思います。

銀色の24金と言うものは存在しません。金を加工してやっとホワイトゴールドになるのです。

では、ホワイトゴールドとはどうやって作られているのでしょうか。

例えば18金は75%が金で、残りの25%が他の金属です。

ピンクゴールドやローズゴールドと呼ばれる色はこの25%の中に銅を入れることで赤味を帯びた金色になります。

では、25%分銀色の金属を混ぜたら銀色の金属になるでしょうか?

絵の具を思い出してください。黄色と白を7:3の割合で混ぜても白にはならないはずです。

金属も同じこと。

実は18金のホワイトゴールドは薄い金色をしています。

そこにロジウムという銀色の金属をコーティングすることでやっと銀色に輝く金属になるのです。

この製法のホワイトゴールドは、ロジウムコーティングを剥いでしまうような手入れ(研磨剤入りのクロスで強く磨く等)は避けないといけません。

また、傷がつくと元の薄い金色が見えてしまうこともあります。(とは言っても光を反射して輝いている金属なので、一見してわかるほど金色ではありませんが)

スーパーホワイトとは?

『スーパーホワイトゴールド』と呼ばれるホワイトゴールドがあります。

これは何も「銀色」が「とても銀色」な訳ではありません。一見すれば、ロジウムコーティングのホワイトゴールドとほぼ同じ色です。

既に「75%の金に25%の銀色の金属を出しても銀色にはならない」と述べました。

ですが、絵の具とは違い、金属は化学反応を起こす物質です。

金に混ぜる金属の中に「パラジウム」という金属を入れると、化学反応により黄色味が消え、完全な銀色の金属に仕上がることが発見されました。

コーティングをせずとも銀色、傷がついても銀色という上記のネガティブ要素を払拭した金属、

そのホワイトゴールドこそが「スーパーホワイト」➖つまり「パラジウムで割ったホワイトゴールド」なのです。

ホワイトゴールドを買うときに注意したいこと

実はパラジウムという金属は、希少で時にプラチナよりも高価で取引される事もある金属です。

そのため、どうしてもスーパーホワイトゴールドは、ロジウムコーティングのホワイトゴールドやイエロー・ピンクゴールドに比べて販売価格が高くなってしまいますし、生産量も少なくなってしまいます。

だから今でも、ロジウムでコーティングしたホワイトゴールドと、スーパーホワイトの2種類が流通しているのです。

購入する側としては、それぞれにメリットとデメリットがあり、購入する際にはどちらのホワイトゴールドなのかを知っておくことが大切です。

コーティングの方が一般的で、商品の種類も多く、値段も買いやすいですが、永遠に銀色をキープ出来るものではありません。

ですので、私たちは当店でお客様の物を作る場合、結婚指輪のようにずっと身につける物は費用を少し足してでもスーパーホワイトをお勧めしますし、

カジュアル使いであれば予算次第、考え方次第でコーティングの方でいいとご説明させていただきます。

今欲しいホワイトゴールドはどちらのホワイトゴールドでしょうか。

購入時に判断基準の1つとして考えていただければ幸いです。

宝石の留め方について

宝石の留め方・ストーンセッティングは、宝石を最大限に美しく魅せ、ジュエリーのデザイン性を高める大切な要素です。

宝石がセットされる時には、肌に触れない高さまでの枠を製作し、宝石の輪郭の少し上部に地金を被せて固定するのが、おおまかな原理です。

その被せ方はデザインに大きく関わりますが、見た目だけでなく、宝石の特性や形状、光取りの観点からも考慮することで、耐久性や身に付けた時の美しさが高まります。

上記の画像のような爪留めでのセッティングは光も多く取り込み、宝石を隠してしまう部分が少ないので宝石を大きく見せてくれます。

その代わり糸やニット素材の洋服などに爪が引っかかってしまう事もあります。

上記のようなフクリン留でのセッティングは、爪がない分モダンでリングのスタイルに溶け混むデザインにできるので、洋服などの引っかかりを気にせず一体感を楽しむ事ができます。

その代わり光取りが不十分になってしまったり、宝石に金属が被っている面積が多いので、宝石自体を小さく見せてしまう事があります。

彫り留めでのセッティングは中石のアクセントで使われたり、全体に小さい宝石をセッティングする時に使われる留め方です。

地金本体に宝石をはめ込む下穴を空けて、そのサイドの地金を彫り起こして留めるので、引っかかりが全くなく、一粒でアクセントにしたり、全体を宝石で埋め尽くして豪華に仕上げれます。その代わり少し歪んだり曲がったりすると宝石が外れてしまう事もあります。

宝石のセッティングスタイルを選ばれる時に、何を最重要として求められるかを考えてみてください。

デザイン性重視で選ばれるのも1つですし、機能性や耐久性を重視してしっかりした構造のを選ばれるのも1つです。

セッティングを見ることは宝石が本物かどうかを見分けるポイント!

近年は宝石ではなく、ラインストーンなどのキラキラした素材(ミラー効果のあるフィルムを裏側に貼ったガラスやプラスチック)を接着剤で貼り付けて固定したアクセサリーも多く販売されています。

この種類の物は、豪華なデザインでも宝石に比べて重量が軽く、華やかに仕上がるため、必ずしも安価で販売されているとは限りません。

しかし、ストーンがすぐ外れたり、輝きが曇ってきたり、アフターケアや修理ができない物が多いので、長期間着けるのには向かない事もあります。

私たちは宝石とガラスやプラスチックを見分ける方法の1つとして、セッティングを見ることがあります。

宝石を接着剤で貼り付けるということはほとんどないため、輪郭の上に金属が被っているかどうかを確認するとそのストーンが宝石なのかどうかを判断する材料の1つになります。

金属がストーンを挟みこむような構造なら宝石の可能性が高く、

金属の上にストーンが置いてあるだけに見えるなら接着剤を使用している、つまり宝石ではない可能性が高いということです。

購入者としては、長期間使える物かの判断材料になると思いますので、目を凝らして見てみて下さい。