オーダーメイドとは?

 

昨今、ジュエリーはもちろん、スーツやシャツ、バッグや靴、インナーや香水、野菜や車、なんでもオーダーメイドと言う選択肢が出てきています。

ネットですらオーダーメイドを体験できるように工夫するところも出てきていますね。

ひとえにオーダーメイドと言っても、大まかに分けて、フルオーダーメイドとパターンオーダーメイドの2つに分けられます。

 

パターンオーダーメイドは、あらかじめ決まっている形や素材から選択して自分のオリジナルな組み合わせで製品を作っていきます。

ジュエリーであれば、スタイルとデザインは決まっていて、金属の色と宝石の色とを選択して自分なりの組み合わせを作る感じです。

Lycorisでもこのタイプのリングはとても人気です。

メリットは選択するだけで手軽に自分だけのオリジナルを手にする事ができますし、製作側も形や素材をある程度まとめて用意できるので、コストを下げることが出来ます。

デメリットというほどのことは特にないですが、強いて言うなら「世界に1つだ」とは言い切れないことでしょうか。

 

フルオーダーメイドは、他にはない完全に世界にひとつだけのものを完成させます。

メリットは、自分の欲しいものをとことん追求することも、ご予算とデザインのバランスを取ることも可能です。

また、完成した物には、「自分だけのために作られた」という特別感や、「デザインや素材も自分で考えて選んだ」という時間も付加価値として上乗せされます。

デメリットは、フルオーダーメイドはパターンオーダーメイドと比べてお値段が高くなります。

これは、あらかじめ決まっているデザインや素材、型などは無く、お客様のご要望に合わせて、一からお客様だけのデザインを作りあげ、材料などもベストな物を手に入れて製作するからです。

この2つのどちらが自分に合うのかは、どんな場面で、何のために使用するかなど、その時と目的で変わるものだと思います。

 

敷居が高く思われがちなオーダーメイドですが、基本的にはお客様の「欲しいもの」をお作りするので、完成時には満足度の高いお買い物をしていただけると思います。

もちろんお作りする物や企業にもよりますが、意外にパターンオーダーメイドやフルオーダーメイドは同じような素材の既製品よりも少し高価な程度。ブランド物よりはお手頃な場合も多々あります。

次に買いたいものの選択肢の一つとして、オーダーメイドも考えてみてくださいね!

ジュエリーを通販で買う?名前を読み解く宝石の見分け方

昨今、ジュエリーにおいてもインターネットでの販売が増えつつあり、実物を見る事なく、写真と文字のみでの判断からの購入に至った経験のある方も多いと思います。

店舗がない分価格を抑えることが出来るので消費者としてのメリットは大きいですが、中にはイメージを良くする為に、価値を高く見せるためだけに、煌びやかな”キャッチコピー”として、宝石名を製品名に用いている場合があります。

全てではないですが、前半が実際の宝石(または素材)で、後半がイメージを良く見せるための宝石名の場合が多いと感じます。

 

<天然石>

①シトリントパーズ

②ハーキマーダイヤモンド

<人造石>

③CZダイヤモンド

④コットンパール

 

上記はほんの一例ですが、このあたりは聞いた事がある人も多いと思います。では、1つずつ解説していきます。

①シトリンは黄水晶で、トパーズとよく似た色ですが、一般的にシトリンよりトパーズの方が高価で貴重な宝石です。

なのでこの場合、シトリンをまるでトパーズかのように謳っています。

②ハーキマーは水晶です。この場合”ハーキマー”は素材名ではなく、アメリカのハーキマー州で多く産出されることが由来です。ハーキマー「クォーツ(水晶)」というよりも、ハーキマー「ダイヤモンド」と呼んだ方が価値がぐっと上がる感じがしますよね?でも実際ダイヤモンドというわけでもなく、そこまで珍しい宝石でもありません。

③CZとは「キュービックジルコニア(Cubic  Zirconia)」の略称。これはダイヤモンドの模造石です。人工ダイヤモンドはいくつかの種類があるのですが、その中でもCZは一般的に出回っていて安価です。見た目も綺麗ですが「ダイヤモンド」ではないのでご注意ください。

④コットン、つまり綿を固めたものにパール色の塗料を乗せたのがコットンパール。最近少し価格が下がったように感じますが、数年前は綿にしては高価過ぎると感じる価格で、コットンパールを使用したアクセサリーが販売されていました。

 

このコラムでも何度かお伝えしていますが、偽物だから悪い、ということではありません。

シトリンも美しい宝石ですし、ハーキマーもきちんと宝石で、研磨なしでキラキラ光るのが魅力です。

CZやコットンパールは、本物よりも軽くて安価なので、大ぶりなデザインや普段使いしたいという場合には重宝します。

 

ただ、ジュエリーを扱う者としては、素材を偽って(もしくは意図的に勘違いさせるような表記)で販売するのはいかがなものかなというのが本音です。

特にインターネットで購入する場合には、目につきやすい部分の表記は価値の高いものに似せるためややこしい表記が多くありますのでご注意ください!

 

おまけになりますが、最近ちょくちょく見かける「ラベンダー翡翠」。

翡翠は一般的に緑色のイメージが強いですが、実際は多種多様な色があります。その中で薄紫色をラベンダーと呼び、「色+宝石名」で価値を上げるというよりは、イメージを華やかにするための通称です。

またダイヤモンドよりも高価と言われる「パライバトルマリン」はブラジルのパライバ地方で採れるネオンブルーの貴重なトルマリンです。これは「採掘された特定の地域+宝石名」で価値を上げるための通称。(*現在はナイジェリアやモザンビークでも採掘されています)

宝石名をよく見ることも、賢い買い物をする材料の1つです!

迷ったときはプロに聞いてみるのもおすすめです。

宝石の魅力-宝石の結晶系

宝石、それは美しい自然の造形物。

水晶などのトゲトゲした六角形柱状の物などがイメージしやすいですよね?

ダイヤモンドもルビーもエメラルドもアメジストもそれぞれ独自の結晶系を持っています。

原石のままジュエリーに加工されることもありますが、基本的に多くはそれぞれのポテンシャルを引き上げるようにカット(研磨)されます。

ダイヤモンドは八面体(上下に四角錐を重ね合わせた形)から二つの石をカットして仕上げる”双子ダイヤモンド”が最近話題ですが、

他に六面体、十二面体などもあります。

ルビーは六角柱から一番綺麗で大きく取れるようにカットします。

エメラルドも六角柱から取り出されます。トラピチェエメラルドは六角形の模様が見え、結晶系がわかりやすいです。

 

このように、色々な結晶系のさまざまな宝石がカットされ、枠にセッティングされてジュエリーとなります。

透明で鮮やかな物が「良品」「最高級品」として店頭にならびますが、稀に結晶系が見えるような物も存在します。

それは紛れもなく天然である証拠。自然から産まれた形跡を感じ、唯一無二の美しさを感じる点です。

 

例えば私は、写真のルビーのように、「六角形の結晶からカットされたんだな」とわかるものに、自然の美しさや不思議さを感じます。

ルチルクォーツの中に、六角形の結晶から出てきた事がわかるような金線を見つけるとわくわくしてきます。

 

宝石の楽しみ方は人それぞれです。必ずしも高価なものがいいと感じなければいけない訳ではありません。

各石に魅力があり、個性があり、一点物です。

私はそれらを所有する、身につける事が、古代から人間にとって他には代え難い喜びを感じる事なのだと思っています。

値段や一般的な価値に関係なく、各個人が魅力を感じた石を所有し、楽しむ事が人生の喜びになるように願っています。

 

近年のTVドラマから感じる事

私は職業柄、どうしてもテレビに映る人よりもジュエリーのほうに目がいってしまう癖があります。

例えば、テレビドラマ。

社会と戦う女性⇦海外有名ブランド(BOUCHERON)(Tiffany & Co)etc….

王子様を待つ女の子⇦国内ブランド (STAR JEWELRY)(4℃)etc….

全部が全部ではないですが、

女性が憧れるような自立した女性のドラマには海外高級ジュエリーブランド。主に仕事のシーンで着用していて、特にプレゼントされたなどの描写はなし。なかなか買えないようなクラスのジュエリーをいくつも持っていて、冷静に考えると不思議ではあります(笑)

 

かわいらしいイメージの女性の恋愛関係などの世界が描かれるドラマでは、国内ブランド。いわゆる王子様役がジュエリーを買いに行く場面も描かれたりしますし、同じものを着まわしていて現実的に感じます。

 

実際にエンドロールまで見ていると、ジュエリーブランドがスポンサーについていることがわかります。

どちらもそれぞれの需要があり、それぞれのマーケティングが見えてきますね。

 

海外ブランドは、女性が自分を演出するための華やかで個性のあるデザイン。

自己表現の1つとしてジュエリーを選んでもらいたい、という狙い。

 

国内ブランドは女性の繊細な美しさを飾る、普段使いしやすい身近なデザイン。気軽に普段の生活に取り入れ、プレゼントとしても選んでいただきたい、という狙い。

 

これはあくまでも私の視点なので、製作側・スポンサー企業の思惑とは違うかもしれません。

でも、そんな視点でドラマを見てみるのも面白いものです。

 

あなたはどういった視点で見ていますか?

是非一度ジュエリーに注目して、身につけている人物の性格や環境を分析してみてください!

意外と強気なキャラクターの女性が、華奢なジュエリーを身につけていると実は内面は繊細だったり、その逆も。

人物像や衣装を選んでいる方の思惑がジュエリーにまで及んでいると思うと、製作している人のすごさを感じます。

でも日常でも同じことですよね。

ジュエリーは小さくても目を引く分、”こういう人でありたい”と表現するためのツールでもあります。

今日の自分の理想図を思い描いたジュエリーコーディネートを楽しんでください。

シルバーアクセサリーとうまく付き合う方法

シルバーの特徴

シルバー(Silver)・925・スターリングシルバーなど色々な呼ばれ方をされますが、日本語でいうと単純に「銀」です。

ただし、どれも純度は925/1000。純銀は柔らかいため、アクセサリーに使用する場合はこの配合で使用されることが多いです。

私の主観ですが、色の特徴としてSILVER925は銀色に少し黄味を帯びた色だと感じています。

同じような銀色でもプラチナは銀色に少し黒を感じる色で、SILVER925の方が柔らかく感じる印象があります。

もう1つの特徴は、変色(酸化)があります。変色に関しては良し悪しですが、それぞれの捉え方だと思います。

クロムハーツに代表されるイブシと呼ばれる加工方法は、あらかじめ変色する部分を化学変化で黒くしてしまう技法です。

これによりロックで男っぽい、無骨なイメージや使い込んだアンティークな雰囲気に仕上がります。

ずっと綺麗な銀色を求めるなら、色の印象は変わってしまいますが、

メッキをかけるか、シルバーでなくホワイトゴールドやプラチナを選ぶかになります。

変色も含めてシルバーを愛してあげれれば長く共に過ごしていける良い素材となります。

変色は洗浄液や専用クロスで磨くことで綺麗に戻ります。

予算を抑えて銀色のアクセサリーを楽しみたい方にとっては、シルバーにロジウムメッキの選択も良いと思います。

(ロジウムはプラチナに近い色の金属でホワイトゴールドのコーティングにも利用されます。紛らわしくてあまりその呼び方は好きではないですが、通販サイトなどでは”プラチナ仕上げ”と謳われている物の多くが”ロジウムメッキ”です)

合金製の銀色のアクセサリー等は溶接等の修理ができない物が多いですが、シルバー925製品であれば修理ができるので、お気に入りのジュエリーを長く愛用し続ける事も出来ます。

一概にシルバー=すぐ汚れる、安物である

と言うようなイメージで選択肢から外してしまうのではなく、

素材の良さと特徴・加工を知ることで、様々な選択肢から自分に合ったジュエリーを選ぶことが出来、人生の楽しみが増えることと思います。

自由なリフォームジュエリーをVol.3

今回も引き続きリフォームジュエリーについてです。

Vol.1をお読みでない方は是非そちらも併せてご覧いただければ幸いです。

自由なリフォームジュエリーをVol.1はこちらから

自由なリフォームジュエリーを Vol.2はこちらから

今のリフォーム事情

Lycorisのリフォームで一番多いのは、祖父母世代・親世代の婚約指輪(ダイヤやサファイアなどの色石も含む)を日常使いしやすいネックレスに作り変えるか自分たちの婚約指輪にするリフォームと、

花珠真珠をいくつかのジュエリーに分けて、姉妹で分けるなど複数人で分けあうリフォームです。

特に婚約指輪は、コスト面でもおすすめです。

例えば0.5ctのダイヤモンドリングを購入する場合、予算は60万円~。

もし0.5ctのリングをお持込いただいてリフォームするなら予算は12万円~。

婚約指輪は日常使いしない方が多いので、必要ないとお考えの方も多いですが、リフォームジュエリーの予算でなら…と言われる方も多いです。

形見分けとして、1つのジュエリーから複数のジュエリーを作ることも可能です。


-これまでの加工例

各事例のだいたいの平均予算はあくまでも目安としてお考え下さい。デザインや素材によって価格は異なります。

①リングから石を外してネックレスやピアスにリフォーム(平均予算:4.5万円前後)

お母様の2本のリングから石を外し、それぞれが使いやすいアイテムを、それぞれの個性に合わせたデザインで。

②元の枠を活かしたネックレス(平均予算:3万円前後)

指輪としては着けないけれど、なるべく現在の形は残したいという想いから、元の枠を残し、周りに少し華やかな装飾を足してアンティークで可愛らしいデザインに。

③花珠真珠をカジュアルにも使えるデザインにリフォーム

SV925ステーションロングネックレス(平均予算:1.2万円前後)

ロングタイプのステーションネックレスは、長さや間に入れるチェーンの細さによっても印象が変わります。これは思い出の品ということもあり、留め具も飾りとして入れ込みました。

K18ネックレス(平均予算:3.5万円前後)

横に並べたデザインは使いやすく、カジュアルからセミフォーマルまで合わせやすい定番。少ない数で出来るので、複数分配する時によく選ばれます。

④外した石を手持ちのリングに付け足すリフォーム(平均予算:3千円前後)

お手持ちのリングに別のジュエリーから外したダイヤモンドを埋め込みました。

決まりがないからこそ出来るカスタムのリフォームです。


これらはほんの一例です。

リフォームジュエリーは、生まれ変わった時の変化に驚かれる方が多いです。

眠っているジュエリーがあれば、是非お気に入りに生まれ変わらせてみませんか?

ご相談お待ちしております。

*費用はデザインや使用する素材・下取りの金額によって変わりますので、気になった方は実際にお持込いただきご相談をお勧めします。

自由なリフォームジュエリーを Vol.2

今回も引き続きリフォームジュエリーについてです。

Vol.1をお読みでない方は是非そちらも併せてご覧いただければ幸いです。

自由なリフォームジュエリーを Vol.1はこちらから

 

ジュエリーの価値とは。

“ジュエリーは資産です!”とか”投資と同じです!”と言って接客する販売士もいますが、そこは冷静に考えないといけません。

もちろん、ダイヤモンドや貴金属はそれだけで価値のあるものですが、

ジュエリーとして製品化されている以上、売価にはデザイン料や工賃、加工料等、沢山の経費と利益が上乗せされています。

これはジュエリー以外の物も同じこと。原材料の価格に、製品化までにかかったさまざまな経費や利益が上乗せされて販売されていますよね。

ですから、「買った時の金額=売却できる金額」ではありませんし、ダイヤモンド以外の天然石は大きさや色のグレードが良くない限り値段がつかないことも多いです。

もちろん相場にもよりますが、ほとんどのジュエリーが買った時の値段の50%の金額にもならないと思います。

ただ、ジュエリーが他のものと違うのは「加工すれば再利用出来る」ということ。

これは長きに渡り、世代を超えて愛用するために不可欠な要素です。

“人から人へ受け継ぐもの”という「人と人をつなぐ」資産として面での価値は充分にあるのです。

 

私たちがリフォームジュエリーを勧めたい理由

加工する側としては、前回のコラムで述べたように、リフォームジュエリーの加工にはリスクが伴いますし、簡単ではありません。

また、今ある物を分解してから作り直すので、通常のオーダーメイドより工程も多く、時間もかかります。

それでも私たちがリフォームをフルオーダーで受けているのは、「大切なジュエリーを長く愛用していただきたい」から。

これはLycorisの理念でもあります。

私たちはジュエリーを作る側として、人をより引き立たせ魅力的に見せるためのデザインと、

永く手元に置いてもらうために強度や着け心地を考慮することを心がけていますし、他店の物でも、壊れてしまったものは出来る限り修理します。

また、宝石や貴金属は厳しい条件や長い年月を経て人の手に届くため、無限に出てくるとは限りません。

その貴重なジュエリーが、「見た目が好きじゃないから」という理由だけでジュエリーボックスの中で眠ったまま忘れられてしまうのはもったいない…。

 

そういった視点から「宝石を永く愛せる形にする」リフォームジュエリーにも力を入れ、通常のオーダーメイドジュエリーと同じようにフルオーダーメイドでお受けすることにしています。

 

「これは〇〇からもらったものなんです」「〇〇はこういう人でこんな時にこれを付けていて…」など、打合せの際に聞かせていただくエピソードはどれも素敵な思い出ばかりです。

もちろんお話しされない方もいらっしゃいますが、その宝石を・ジュエリーを自分らしい形に変えて持ちたい!と思う気持ちは同じ。私たちも精一杯の気持ちと技術で応えられるよう日々努力しています。

 

最終回の次回(10/26(金)更新)では、具体的なリフォーム事例などをご紹介します。

自由なリフォームジュエリーを Vol.1

「自由なリフォームジュエリーを」

これは、私たちがご相談に来ていただいたお客様によく言う言葉です。

これまでのリフォームジュエリーの多くは、石がない状態で作り置きされたリングやネックレスに、手持ちのリングから石を乗せかえるものでした。

“一度検討したけれどデザインの幅も狭く、手持ちのものとそこまで変わらないから、リフォームは諦めていた”

そんな言葉も多く耳にしてきました。

Lycorisのリフォームジュエリーは、決まった型やパターンは用意せず、すべて自由。

加工料は、ほとんどの場合が通常のオーダーメイドジュエリーと同じくらいの価格に設定しています。

今回はなぜ私たちがリフォームを大切にしているのか、リフォームでどんなことが出来るかをご紹介していきます。

なぜリフォームジュエリーの選択肢が少ないのか。

ヨーロッパなどジュエリーの歴史が長い国では、ジュエリー工房も多く、宝石や貴金属を受け継ぐことは一般的で、リフォームジュエリーは割と身近な存在です。

日本ではもともと発掘される宝石や貴金属の種類や量が少ないことや、

歴史的背景から考えても、ごく日常的にジュエリーを楽しむようになってからまだそんなに長くありません。

そして”新しいもの”に価値を感じる人が多いことがあり、リフォームジュエリーはなかなか注目されませんでした。

特にバブル期にはたくさんの貴金属が売買され、ジュエリーを持つ人が多くなった結果、現在は

“もう使わなくて、もったいないけどどうしたらいいかわからない”

と考えている方が多いようです。

 

リフォームのリスク

そもそもリフォームしよう!と思った方が持ち込むジュエリーは、多くがその方にとって思い入れがある大切なもの。

そのジュエリーを加工するにあたって、リスクが伴います。

特に石は、見えない部分・隠された部分に傷やヒビがあることが少なくありません。

一番固いダイヤモンドですら傷がついたり、力を加える方向によっては破損したりということもあります。

破損した場合、例え似たような石を探せたとしても、それは思い出のない全くの別物。

だからこそ、破損しないように事前のチェックや、加工には細心の注意を払わなければならず、いつも以上に時間や労力がかかります。

 

こういったリスク回避の観点や、フルオーダーメイドが可能なお店が少ないことから、なかなかリフォームジュエリーが自由にできるお店が少ないのもリフォームジュエリーが注目されづらい原因の1つかもしれません。

 

長くなりますので、今回のテーマは分割して掲載していきます。

次回は10/23(火)に「ジュエリーの価値」と「私たちのリフォームジュエリーにかける想い」をお伝えします。

ホワイトゴールドの秘密

ホワイトゴールドは、シルバーよりも手入れが楽で、プラチナよりも軽い着け心地が好まれています。

ですが、ホワイトゴールドも『金』

金は『金色』なのになぜホワイトゴールドは『銀色』なのか。

今回は『金色』を『銀色』にする方法についてご紹介します。

24金のホワイトゴールドは存在しない!?

以前のコラムでもご紹介したように、多くのジュエリーに使用される貴金属は、

耐久性や美しい色を出すことを目的に他の金属と混ぜられています。

24金はほぼ(化学的に純粋に100%のものは存在し得ないという見解からほぼとしています)100%金なので、寺院などの装飾品などによく用いられている濃い金色を思い浮かべていただければわかりやすいと思います。

銀色の24金と言うものは存在しません。金を加工してやっとホワイトゴールドになるのです。

では、ホワイトゴールドとはどうやって作られているのでしょうか。

例えば18金は75%が金で、残りの25%が他の金属です。

ピンクゴールドやローズゴールドと呼ばれる色はこの25%の中に銅を入れることで赤味を帯びた金色になります。

では、25%分銀色の金属を混ぜたら銀色の金属になるでしょうか?

絵の具を思い出してください。黄色と白を7:3の割合で混ぜても白にはならないはずです。

金属も同じこと。

実は18金のホワイトゴールドは薄い金色をしています。

そこにロジウムという銀色の金属をコーティングすることでやっと銀色に輝く金属になるのです。

この製法のホワイトゴールドは、ロジウムコーティングを剥いでしまうような手入れ(研磨剤入りのクロスで強く磨く等)は避けないといけません。

また、傷がつくと元の薄い金色が見えてしまうこともあります。(とは言っても光を反射して輝いている金属なので、一見してわかるほど金色ではありませんが)

スーパーホワイトとは?

『スーパーホワイトゴールド』と呼ばれるホワイトゴールドがあります。

これは何も「銀色」が「とても銀色」な訳ではありません。一見すれば、ロジウムコーティングのホワイトゴールドとほぼ同じ色です。

既に「75%の金に25%の銀色の金属を出しても銀色にはならない」と述べました。

ですが、絵の具とは違い、金属は化学反応を起こす物質です。

金に混ぜる金属の中に「パラジウム」という金属を入れると、化学反応により黄色味が消え、完全な銀色の金属に仕上がることが発見されました。

コーティングをせずとも銀色、傷がついても銀色という上記のネガティブ要素を払拭した金属、

そのホワイトゴールドこそが「スーパーホワイト」➖つまり「パラジウムで割ったホワイトゴールド」なのです。

ホワイトゴールドを買うときに注意したいこと

実はパラジウムという金属は、希少で時にプラチナよりも高価で取引される事もある金属です。

そのため、どうしてもスーパーホワイトゴールドは、ロジウムコーティングのホワイトゴールドやイエロー・ピンクゴールドに比べて販売価格が高くなってしまいますし、生産量も少なくなってしまいます。

だから今でも、ロジウムでコーティングしたホワイトゴールドと、スーパーホワイトの2種類が流通しているのです。

購入する側としては、それぞれにメリットとデメリットがあり、購入する際にはどちらのホワイトゴールドなのかを知っておくことが大切です。

コーティングの方が一般的で、商品の種類も多く、値段も買いやすいですが、永遠に銀色をキープ出来るものではありません。

ですので、私たちは当店でお客様の物を作る場合、結婚指輪のようにずっと身につける物は費用を少し足してでもスーパーホワイトをお勧めしますし、

カジュアル使いであれば予算次第、考え方次第でコーティングの方でいいとご説明させていただきます。

今欲しいホワイトゴールドはどちらのホワイトゴールドでしょうか。

購入時に判断基準の1つとして考えていただければ幸いです。

素材の表記について

ジュエリーを買う時に何で出来ているのかをきちんと知ることは、

デザインだけでなく貴金属としての財産的価値を把握する大切な要素です。

どこを見れば良いのか、どの単語が何を表しているのか。

基本的に素材を知らせる表記は、指輪なら内側、チェーンなら引き輪やプレート、ネックレストップなどは裏側に刻印があります。

基本的に貴金属は%を用いる百分率よりも細かい千分率で表し、‰(パーミル)でその金属の割合を示しています。

例えばシルバー925と言うと、925‰(百分率で言うと約92.5%)銀が含まれているということです。

以下にジュエリーに使われる素材の種類と表記を説明していきます。

※各国・年代の基準により使われる刻印は変化しています。以下の刻印が無く、それ以外の刻印がある場合もあります。あくまでも現在日本で販売されているもので、代表的な表記とお考えください。

ゴールド

日本では24分率で表されることが多いですが、海外ブランドは日本で販売していても千分率で表していることが多いので、どちらも把握しておくといいと思います。

24分率での表記/千分率での表記

K24/Au1000 =純金

K22/Au917=約91.7%が金

K18/Au750=約75%が金

K14/Au585=約58.5%が金

K10/Au417=約41.7%が金

K9/Au375=約37.5%が金

希に18KTや14KTという表記の物があります。

KTとはkarat(カラット)=純度のことで、同じカラットでも

ダイヤモンドや宝石の重さを表すcaratとは違います。

プラチナ

Pt1000→純プラチナ

Pt950→約95%がプラチナ

Pt900→約90%がプラチナ

Pt850→約85%がプラチナ

Pm→約70〜80%がプラチナ

結婚指輪や婚約指輪、プラチナジュエリーにはPt900が多く使われます。

チェーンは硬さを上げて耐久性を増す為に、Pt850が多く使われます。

Pm表記は昔のジュエリーに使われている事があります。プラチナの含有量が700〜800‰であればこの表記が使われていたため、詳しく分析しないと純度がわかりません。

シルバー

純銀→1000/1000

SV950→約95%が銀

SV925→約92.5%が銀

Sterling Silver= SV925

これらがアンティークから現代まで使われている多くの貴金属とその含有量になります。

次は、比較的安価なアクセサリーに使われる素材表記です。

<軽く、安価な仕上がりのメッキ>

GP→GOLD PLATED→金メッキ

GEP→GOLD ELECTRO PLATED→電気メッキ

<金メッキより分厚い金のコーティング>

GF→GOLD FILLED→金張り

GR→GOLD ROLLED→金張り

これらの表記をしっかりと確認すれば、壊れた時に修理が可能か否か、長期間使えるのかどうか等も購入時の検討材料の1つになります。

またお手持ちの物の表記を見れば、自分のお気に入りの物が何で出来ているのかを把握し、壊れた時の対処法がわかります。

「長く愛用できること」「美しさを保てること」

これらを重視する場合は貴金属製であることを確認することをお勧めします。